群馬県立太田産業技術専門校(群馬県太田市)溶接クラフト科(1年制)では、今春入校した2人の女子訓練生が溶接技能者の資格取得に向け、切磋琢磨しながら着実に腕を上げている。7月に受験した日本溶接協会の溶接技能者評価試験SN-2Fの学科・実技はそろって合格した。
同科は溶接に関してまったくの初心者でも技術・技能の習得に向け、各種溶接方法を基礎から学ぶ。また、就職先ですぐに活躍できるよう、溶接技能者に必要とされる多くの資格取得にも挑戦する。
すとうさんとやまぐちさんは実家が近く、同じ小中学校に通った間柄。やまぐちさんは実家が製缶業を営み、子供のころから溶接を身近に感じていた。すとうさんはやまぐちさんに誘われ参加した、同校のオープンキャンパス(体験型・説明会)で溶接を知った。
「溶接に対する最初の印象は『楽しそう』。高校卒業後の進路が決まっていなかったこともあって溶接に興味を抱き、その後数回オープンキャンパスに通った」(すとうさん)
「当初高校卒業後は家業に就職するつもりだった。パンフレットで本校を知り、先生はじめ本科の楽しそうな雰囲気に好印象を抱いた」(やまぐちさん)
同科の訓練生は全員、日溶協が実施する7月の半自動溶接技能者評価試験(SN-2F)、9月の手溶接技能者評価試験(A-2F)に続き、11月にステンレス鋼溶接技能者評価試験(TN-F)を受験する。12月には希望者のみ、軽金属溶接協会が実施するアルミニウム溶接技能者評価試験(TN-1F)を受験する。入校当初は午前に座学授業、午後に実習授業のスケジュールから、評価試験が近づくと朝から1日実習に臨む。
女子高に通っていた高校時代、溶接とまったく縁のなかったすとうさんは「実習当初は失敗することが多かったものの、経験を重ね、先生からほめられると、あらためて溶接は楽しいと実感した」。実家で2歳上の姉が現役の溶接士を務めるやまぐちさんは「評価試験が近づくにつれ頑張らなければという思いが強くなる。最初に比べて上手く溶接できるようになると楽しい」と話す。
同科指導員は、2人の授業に臨む姿勢について、「2人とも一生懸命であり、溶接技能は着実に向上している。女性らしさの一端として丁寧さが挙げられる。それぞれ一つひとつの作業に手を抜くことがないので、自ずと仕上がりも飲み込みも速い」と評するとともに、「いずれは群馬県溶接技術コンクールに毎年出場する女性選手のパイオニアになってほしい」と期待を寄せる。
すとうさんは「12月のアルミの評価試験に合格することが目標。来春以降は内定をいただいているアルミ関係の企業で社会人として頑張っていきたい」。やまぐちさんは「私もアルミの評価試験合格が目標。父の意向を受け、在校中は資格取得に励む。就職する実家の製缶業では資格を生かし、早期に仕事を任せてもらえるように頑張りたい」とそれぞれ抱負を語る。