ポリテクセンター宮城では多賀城実習場(多賀城市)が2011年3月11日、東日本大震災で2メートルを超える大津波の被害を受けて、施設機能が停止し、訓練が中断した。 同センターでは再建に向けて、同年6月から借り上げた仙台MTビル(仙台市青葉区)を仙台実習場として新設し、同年8月からは名取市にあった貸工場を名取実習場として整備。機械系、電気・電子系、居住系の訓練をそれぞれ再開した。12年3月には名取実習場で溶接施工科の訓練が復活した。
15年1月、仙台実習場での業務が終了し、3月からは復旧した多賀城実習場で電気・電子系及び居住系の訓練を開始した。溶接施工科など機械系の訓練は引き続き名取実習場(名取市)で実施。多賀城、名取の2つの実習場で分かれて訓練を行う体制になった。
その後、震災から10年を経て、受講生の利用環境を向上させつつ、効率的な職業訓練を実施するため、21年12月、多賀城実習場の2号棟を溶接および板金加工を行う溶接実習場に改修し、汎用機械、NC機械加工の実習を行う6号棟を新設し、名取実習場の機能を多賀城実習場に移転・統合した。
溶接実習場で使用する溶接機をはじめとする訓練機器については、名取実習場で使用していた溶接機などを移設するとともに、溶接ブースや集塵機のダクトについては新たに設置した。
また、訓練の質を高めるため溶接可視化カメラやAR溶接機を導入。溶接部についてカメラを通して見ることが可能となり映像を見ながら作業ポイントの提示した授業を実施している。AR溶接機は気軽に溶接作業を体験できることから技術習得の向上以外にも施設見学会などで広報活動の強化に活用している。