新潟県溶接協会が主催する第34回新潟県溶接技術競技会。これは、ものづくりが盛んな新潟県内でも、屈指の溶接技能者が腕を競い合う大会です。
そんな競技会で、TBグローバルテクノロジーズのおおはしさんが、ステンレス溶接の部で4位入賞を果たしたことが話題となりました。
おおはしさんは、溶接技能者としての経験が1年にも満たない中入賞しました。そんなおおはしさんに、溶接やTBグローバルテクノロジーズの魅力について、お話をうかがいました。
■溶接技能者を目指すまでの、おおはしさんの物語を聞かせてください
私は、前職は料理人でした。食材の香り漂う厨房で、料理に夢中でした。コロナ禍で不急の外出が制限され、外食産業が大きな打撃を受けた結果、厨房での仕事に対する気持ちを保つことができなくなってしまった私は、2年間の東京生活に区切りをつけ、故郷の新潟県に戻ることを決めました。
溶接に出会ったのは、地元である新潟県のハローワークで、職業訓練について相談した時です。
もとより何かをコツコツと繰り返すこと、そこから新たな事象を見つけること、作業の習熟度を高める工程が好きだった私は、すぐに溶接にピンときて、溶接技能者を目指すことを決めました。
三条テクニカルスクール(新潟県三条市)で技術を身につけ、卒業後はTBグローバルテクノロジーズに就職しました。現在は、溶接技能者として金属と睨めっこする日々を送っています。

料理人から溶接職人への道を志す
■入社後はいかがでしたか?
自分の作業ブースで、溶接の火花が散る音を聞きながら、仕事に没頭できる時間が大好きです。当社の魅力は、なんといっても一人ひとりの溶接技能者に、集中して作業できる専用のブースが用意されていること。
当社で製造している「ローディングアーム」や「スイベルジョイント」は、高い精度が求められる製品ばかり。そのため、溶接の技術はもちろん、集中力も不可欠です。当社では、一つの製品を最初から最後まで、一人の溶接技能者が責任を持って作り上げていくことができるんです。
そんな責任感と緊張感が、私にとってはやりがいに繋がっています。溶接の仕事って、本当に奥が深くて面白いんですよ。
溶接を好きになるまで、根気強く指導してくださった先輩社員の方々には、心から感謝しています。おかげさまで、今では新潟県溶接技術競技会にも参加できるまでになりました。ステンレス溶接の部で4位という結果を残せたのは、ひとえに先輩方のおかげです。いつか、優勝旗を持って、感謝の気持ちを伝えたいと思っています。

高い水準が求められる溶接

集中して作業に没頭できる溶接ブース
■競技会に出場して何か変化はありましたか?
最初は「溶接って危ないんじゃないの?」と心配していた母が、競技会での私の写真を目にし、「こんなに頑張ってるなんて、嬉しいわ!」と温かい言葉を掛けてくれるようになりました。叔父や祖父も、「溶接はただの仕事じゃないな。職人として素晴らしい!」と褒めてくれるようになり、家族みんなが私の仕事を誇りに思ってくれていることが、今の私の大きな支えです。
時々、もし溶接技能者になっていなかったら、就職前にしていたスポーツインストラクターのアルバイトを続けていたのかな、なんて考えることがあります。
スポーツインストラクターも魅力的な仕事ですが、「自分で作った美しい溶接ビードを見るたびに、技術が上達しているのが実感できる」という職人ならではの喜びは、溶接技能者でなければ味わえなかったかもしれません。
これから溶接技能者を目指している人には、「溶接には、他の仕事にはない面白さや喜びがあるよ」と伝えたいです。

溶接の世界に魅了されたおおはしさん
■おおはしさんが製造に携わるローディングアームとは
ローディングアームは、特別な関節(スイベルジョイント)をもった配管で、海外から運ばれてきた液化天然ガス(LNG)などのエネルギー源となる化石燃料を、船から陸に荷役するときなどに使われる、とても大切な装置です。
私たちが普段使っている電気やガスの燃料は、海を渡って日本に運ばれてくることが多く、その時にこのローディングアームが大活躍しています。
液化天然ガスなどの化石燃料を船から陸に荷役するときには、船が波で揺れても大丈夫なように、特別な関節(スイベルジョイント)を使って、しなやかにアームを動かします。この技術のおかげで、安全に化石燃料を荷役することができます。

ローディングアーム

溶接が多用されるローディングアーム

ローディングアームの模型

本溶接を待つ仮溶接後の部品