高校時代から溶接に興味
宮城県内の工業高校で初めて溶接を体験した2人の女子生徒は、その後、溶接に興味を抱くようになった。あらいさんは白石工業高校2年で参加した2012年の宮城県高校生溶接技術競技大会で第2位に入賞し、関係者の注目を集めることに。かなざわさんは宮城県工業高校2年で参加した翌2013年の競技会で8番目の成績を収め、それぞれ溶接に関係する仕事を志した。
「高校時代から溶接の仕事に関心はあった。競技会が縁で当社とつながりができ、実際に求人がきた。それならば、もともと大きい製品の溶接に携わりたいと考えていたこともあって志望した」(あらいさん)
「溶接が好きだったので溶接の仕事がしたいと先生に相談したところ当社を紹介された。ホームページをみて企業理念に共感し、自分もだれかのために働きたいという思いで受験した」(かなざわさん)
製缶・溶接双方が協調
機械システム事業部製造部製缶課で、あらいさんは大物組溶接員、かなざわさんは中小物組製缶員を務める。大物組が圧縮機などを担当するのに対し、中小物組は圧縮機を構成するロータなどを製作する。あらいさんは半自動・ティグ・被覆アーク溶接、主に組立作業に携わるかなざわさんは仮付などで半自動・ティグ溶接を行う。
「以前できなかったことが経験に応じてできるようになる。少しずつ技量が向上していく過程を実感しながら、新たな経験を重ねていくことが楽しい。周囲からは顔が焼けて大変ではなどと声をかけられることもあるが毎日充実している」(あらいさん)
「製品の寸法にしたがい縮み代などを考慮しながら組み立てなければならない。溶接の担当者と協議しながら一つの製品を作り上げる仕事は、まるでパズルが組み上がるようですごく楽しい」(かなざわさん)
溶接担当のあらいさんが「製缶担当に助けてもらうことが多い。製缶担当が苦労しないようにきれいな溶接を心がける」と話せば、「溶接担当が作業しやすいように、負担が少なく済むように組み立てる。時にはビードがすごくきれいで削りたくないと感じることもある」と製缶担当のかなざわさんが話すやりとりから、製缶・溶接双方が協調して作業に当たる風景が頭に浮かぶ。
好きだから続けられる
今後について、あらいさんは「熟練技能士」、かなざわさんは「何でも任せられるオールマイティーな技能者」を目標に掲げる。
「年齢と経験を積み重ねることで後進に指導することができる。将来結婚して続けられるかどうかはわからないが、今の目標は熟練技能士になること」(あらいさん)
「現在担当している製缶を基礎として、いずれは何年か本格的に溶接を学ぶ期間を経て、製缶を続けていきたい」(かなざわさん)
同世代の女性に対しては「溶接は純粋に楽しいという思いから始まっている。溶接はその都度ビードが異なり、うまくいったりいかなかったりという別の楽しさもある。ぜひ、触って体験してほしい。また、平板にビードを置くだけでなく、難しい溶接を数多く経験する毎に楽しさは変わってくると思う」(あらいさん)「もともと溶接に携わることができれば仕事に対してとくにこだわりはなかった。好きだから続けられるのだと思う。製缶は縮み代を考えるなど頭を使うところがたくさんあり、実際に組み立てて、溶接してみないとわからない。実際に触れて難しさを楽しさに変えることができれば、続けていけると思う」と話す。
「休日は外出するならウインドーショッピング、家では漫画を読む。最近英語を覚えたくて勉強しようかと思案中」(あらいさん)
「休日は家にいることが多い。買い物に出かける以外は、漫画やゲームで過ごす。書類立て、小物入れなどものをつくるのも好き」(かなざわさん)