訓練生・修了生11人が参加
溶接職への期待や不安に応える

少子高齢化にともなう労働者不足が深刻化する中、女性の活躍に大きな期待が集まっている。新潟県立三条テクノスクールは7月6日、三条市の同校会議室で第2回溶接女子会を開催。同校溶接科の女性指導員・榎本静香さんをファシリテーターとして、同校溶接科で学ぶ女性訓練生4人と、現在、地元の溶接事業所で活躍する同校女性修了生7人が溶接談義に花を咲かせた。

この女子会は、榎本さんが溶接科の担当に就き、率先して女性でも溶接ができることを実践したところ多くの女性から共感を呼び、溶接科の女性訓練生が増えたことが切っ掛け。ここ2、3年で溶接事業所に就職した女性修了生も17人に登り、県内テクノスクール3校全てに女性訓練生がみられるようになったことから今回、訓練生と修了生を交えての開催となった。

集まった修了生の業種は、照明器具製造、調理用器具製造、自動車部品製造、造・配管、農業機械製造など多岐にわたる。このため仕事の内容(溶接関係)もティグ溶接、半自動溶接、スポット溶接、ロボット溶接、検査などと幅広い。また、訓練生は修了を間近に控え、現在就職活動にあたっている。

今回の女子会では、修了生が現在の職務を感想を交えて紹介するとともに、訓練生からの就職に関する相談に応じる形式で進行。修了生は、訓練生から寄せられた質問に対し、次のようにアドバイスを送った。

▽ものづくりのやり甲斐は
「自分が携わった製品(完成品)を外で見かけたときに実感する」「難しい溶接ができたときに達成感を感じる」

▽学校と職場の違いは
「チップの交換サイクルなど、ルールの細かいところに違いがある」「職場で直接溶接する機会は少ないが、溶接は『準備8割』と言われるように段取りなどの仕事が多いため、学校で受けた指導を生かす機会は多い」

▽在学中にどんなことを学ぶべきか
「学校と就職先では板厚などの条件が異なるため、臨機応変な技能を身につけることが必要」「学校では半自動溶接を中心に学んだが、職場はティグ溶接が中心。このため学べることは全て学ぶべき」「溶接技能だけでなく、図面の読み方などの周辺知識も必要」

▽職場環境について
「溶接現場は夏が熱いだけでなく、冬の寒さも厳しい。このため、冬は使い捨てカイロが欠かせない」「スパッタなどの少ないティグ溶接が中心であるためか、職場にはエアコンが完備してある」

▽男性が多い職場だが
「ほとんどの男性社員が重いものを持ってくれるなど、気を遣ってくれる」「女性を受け入れるにあたり、急遽女子更衣室を設けるなど、環境を整えてくれた」

▽前職との比較について
「営業は数字に追われ仕事に終わりが見えなかったが、ものづくりは『完成』という目標がはっきりしているのでやり甲斐を感じる」「集配は土日に休みを取ることが難しく、悩みがあっても友人などに相談することができなかった。今は土日に休むことができるので悩みを抱えずに働くことができる」

▽仕事と家庭の両立は
「育児との両立が不安だったが、気持ちを切り替えることができるため働いている方が精神的に楽になった」

女子会終了後、榎本さんは「当校の女性修了生が多くの溶接事業所で活躍しているのは、重筋作業が少ない板金加工業者など、女性でも働きやすい溶接事業所が多いという地域特性に因るところも大きいと思う。今回の参加者は、体験会で溶接を試してみて『自分にもできるかも』と思って溶接科を選んだ人がほとんど。女性でも『手に職を付けて働きたい』と思っている人は大勢いる。こうした女性の選択肢の一つになるようにこれからも溶接の魅力を積極的にアピールしていきたい。来年も溶接女子会を開催したい」とし、今後の展開に大きな期待を寄せた。