「当社が掲げるスローガンは『らしさがあふれる、世界を』。DIYを通じて自分らしく、楽しく過ごせる空間づくりを体感してほしい」とは、DIY FACTORYのこてらさん。同社では2018年秋から全国各地にDIYの普及を図る「DIY FACTORY GO!」の本格展開に乗り出す。新たな挑戦に携わるこてらさんは「今後は出張レッスン・ワークショップや独自のイベントを通じ、全国規模でDIYに関する要望に応えていく」と話す。

大都(大阪市生野区)が運営するDIYファクトリーは、大阪市浪速区の大阪店と東京都世田谷区の二子玉川店で体験型DIYショップを展開。こてらさんが店長を務めてきた大阪店は2018年9月末で営業を終了し、今秋からは業態を変更して出張に軸足を置くことになった。

「二子玉川店は営業を継続しながら、今後はSNSや自社ホームページ、アプリ開発のほか、独自の営業、関連メーカーとの協調などを通じ、全国各地に出向く機会を増やしていく」

DIYレッスンは溶接の講師を務める

こてらさんは入社3年目。大学で心理学を学んだ後、就いた職業はヨガのインストラクターだった。

「インストラクターはずっとなりたくてなったわけではなかった。4-5年働いて、年齢を重ねるうちに20代で自ら望む仕事に就きたいと一念発起し、大阪・梅田のデザイン専門学校に2年間通った。何かをつくる仕事を意識するようになり、卒業が近づいたころ、たまたま『ものづくりが好きな人/工具/インテリア』という求人を見つけ、大阪店の店長になった」

大阪店では店舗で行うレッスンの開発、準備、講師のすべてを務めたほか、出張ワークショップの依頼を受け、企画から当日の運営など、マネジメント全般を担当した。

大阪店のDIYレッスンは木工の割合が高く、溶接は10%を占める。木工から溶接まで、講師を務めるこてらさんが初めて溶接を体験したのは専門学校在学中だった。

「鉄板を用いた作品の制作を希望したところ、先生が『それなら溶接が必要』ということで知り合いが経営する、文字通りの『町工場』を案内された。専門家の手ほどきを受け、初めて溶接を経験したときは楽しかった。当時は溶接に限らず、ものづくりに関するいろいろな技能を習得したいという思いが強かった。現在、レッスンに通う受講者にとってはボンドやくぎ、ねじなどと異なり、一瞬で強力に接合可能な溶接は、驚きとともに失敗できない緊張感を伴う作業と捉える傾向にある」

溶接のレッスンで制作するサイドテーブル

大都はもともと1937年創業の金物工具卸売業者であり、DIY FACTORYでは豊富な工具類を取りそろえ、様々なDIYニーズに応える。溶接のレッスンでは、100Vの半自動溶接機を使用して、天板に木を用いたサイドテーブルを製作する受講者が多いという。こてらさんは「愛着がわく」ことこそ、ものづくりの魅力と指摘する。

「既製品とは異なり、DIYは作り手の思いを反映できるだけでなく、出来上がった家具などは生活に温かみをもたらす」

こてらさんは、私生活でも「つくっては壊すことが楽しい。例えばキッチンは改良を重ねることでより使いやすく、気に入ったものが出来上がる」とDIYを通じ自分らしさを体現している。

DIYの普及を図る「DIY FACTORY GO!」の活動開始にあたり、大阪を拠点とした推進役を担うこてらさんは、「要望に応じ全国各地に出張するので、ものづくりの楽しさを体感してほしい」と話す。

「DIYは生活に温かみをもたらす」と話すこてらさん