株式会社 大島造船所の
溶接女子受入れのための社内設備

工作部門溶接職の女性比率は9%
「現場に女性がいるのは当たり前」

女性社員が一堂に会した様は「壮観」の一語に尽きる

「仮に女性の技能職が妊娠した場合、事務所の仕事に配置転換する。出産を終え、数ヵ月後には、元気に現場へ帰ってきてくれる」とは、同社の堀口兵栄常務大島工場工場長。女性社員が妊娠しても会社を離れることなく、産後には職場復帰できる。同社には、「現場に女性がいるのは当たり前」(女性社員)の環境が整備されている。

同社は将来の人材不足を解消するためには女性の現場での活躍が不可欠と考え、1999年から毎年5人の女性技能職採用を目標に掲げ、採用活動を展開している。職場環境の改善や女性専用社宅の新設など生活環境の整備に努めた結果、2017年8月1日現在、工作部門の技能職社員897人のうち、女性は42人と約5%を占める(溶接職114人中、女性は約9%の10人)
先輩女性社員をホームページや企業説明会に積極的に登用し、県内大学・高校の女子学生・生徒に向け造船の魅力をPR。女性技術職(設計)は毎年1人、女性技能職(工作)は全体の採用予定数の10%を目標に採用する。

女性社員が活躍する職場づくりにあたっては、可能な限り個々の社員の希望に沿った配置を検討する。加工(切断機の操作・部材の研磨など)、小組(ぎょう鉄・溶接)、組立(溶接)、管内作(パイプの溶接・仕分け)、集配(艤装品の配材管理)など屋内(屋根下)作業で比較的軽度作業の職場が主な配属先となる。
最近では、屋外での作業を希望する女性社員もいる。その場合、適性に応じ、屋外の上部構造(居住区)ブロックや、ドック内建造船(エンジンルームなど)での艤装品取り付けや溶接を担当する職場にも配属している。現場配属にあたっては、体力面を考慮するほか、粉じん作業や高所作業が少ない職場などへの配慮も求められるが、こうした考えでは女性の職場が限定されるため、本人の希望や適性を見極め、関係者と相談の上、配属先を決定する。


1999年、現場採用の女性社員第1号入社にともない、訓練校に女性トイレ(1ヵ所)を設置。また、女性社員配属にともない小組工場に女性トイレ(2ヵ所)を設けた。その後も女性社員配属にあわせて女性トイレを順次新設している。2009年、工場内の女性トイレをウォシュレットに変更。2013年は工場内の女性トイレ(24ヵ所)に擬音機能を追加し、2015年には加工工場の女子トイレを2台から3台に増設した。
工場内には「ハウス」と称する施設が4ヵ所あり、それぞれ女性休養室を設けている。2010年に竣工した第二ハウスの女性休養室にはテーブル、ロッカールーム、洗面台、和室のほか、シャワー室も完備している。

第二ハウスの女性休養室


洗面台
    
シャワールーム


社宅に関しては1999年、女性社員採用に備え、社宅6棟を対象に、1棟各3人が同居する形式の女性専用社宅(18人収容)に改装した。2004年には社宅6棟の収容人数を超過する可能性を考慮し、鉄筋コンクリート造5階建て、40室、ユニットバス+キッチン付きワンルーム(21m2)の専用社宅建設を計画。2007年、女性専用社宅が竣工、現在、31人が入居している。福利厚生の充実により、2015~2017年度にかけて女性技能職5人入社の目標をクリアし、「インターンシップや工場見学でも一定の評価を得ている」(同社)