姉妹でSNSなどを活用した情報発信

群馬県立太田産業技術専門校(群馬県太田市)溶接クラフト科を2020年3月に修了後、同年4月から家業の矢島商事(群馬県太田市)で溶接に携わるやまぐちさんが「初代産業技術専門校アンバサダー」(※)に認定された。やまぐちさんは今後の活動を通じ「毎日異なる製品を一から自分でつくる楽しさ、出来上がったときの達成感などを伝えたい」と抱負を語る。

やまぐちさんと、現在、太田産技専CADシステム科に在籍する2歳下の妹の2人が初代アンバサダーに決定し、昨年11月、県庁で認定証を授与された。

2022年は、2人のアンバサダーがSNSなどによる情報発信をはじめ、産技専ホームページ・冊子などへの掲載、オープンキャンパスなどイベントへの協力を通じて、若い世代に“ものづくりのすばらしさ”を伝えていく。

認定証を手にする初代群馬県立産業技術専門校アンバサダー
(左からやまぐちさん、2歳下の妹)

やまぐちさんは現在、2歳上の姉とともに圧力容器など難易度が高い工作物のティグ溶接を担当している。同じ仕様の製品を流れ作業でつくるのではなく、毎回初めての仕様となるため、個々の製品に応じた溶接姿勢などに難しさを感じるという。

「長女は小学校の卒業文集に『祖父と一緒に仕事がしたい』と書いて、実際そうなった」(母)。同様に子供のころから溶接などを見てきた次女が同じ道を歩むことについて、特別な感情を抱くことはなく「今度は姉妹が一緒に仕事をするんだ」(同)と温かく見守った。

今春、やまぐちさんの妹も家業に入る。「CAD設計技術者を求める会社の意向として当初、次女には太田産技専のCADシステム科を勧めた経緯があり、三女には入社すれば姉が溶接を教えるのでCADシステム科に進んでもらった。4月からは三姉妹でがんばって、会社を盛り上げてほしい」(母)。

やまぐちさんは、県庁での認定証授与式に当たり、カメラの放列に緊張しながら、若い世代にものづくりの魅力を発信する重要性を再認識した。今年はアンバサダーとしての務めを全うするとともに、溶接士としては「何を任されてもできるように経験を重ねていきたい」と語る。

(※)アンバサダーとは:産業技術専門校(産技専)全体の周知・広報活動の担い手として、各校の校長の推薦に基づき県で登録するもの。