株式会社東芝エネルギーシステムソリューション社溶接女子インタビュー
株式会社東芝エネルギーシステムソリューション社

"溶接に性別・性格は不問 前向きな気持ちが大前提"

京浜事業所(横浜市鶴見区)機器製造部 製缶溶接第二課

ひらおさん(1995年入社)
いわさきさん(1993年入社)

「長く続けられる、自身も成長できる仕事を念頭に転職を決めた」

「事務、販売は向いていない。ものづくりがいい」

女性だから丁寧とは限らない

きっかけは異なるものの、東芝エネルギーシステムソリューション社京浜事業所(横浜市鶴見区)では、2人の女性溶接士が入社以来20年以上、発電所向け各種機器の製作に携わる。

「背は高い方ではないし、器用でもない。女性だから丁寧とは限らない。男性と同じで女性も性格はいろいろ。溶接はその気があれば性別、性格に関係なくだれでもできる。特別な仕事ではない。ただ、何かきっかけがないと最初から溶接士を志望する女性は少ないと思う。私自身がそうだったように、大きな製品や工場の設備などをみて面白いと感じる人は多いと思う」(いわさきさん

「当事者に前向きな気持ちがなければ何もできない。職場の道具や材料は重いものが多い。最初から持てないと自己判断するのではなく、持たなければならない、持つしかないと意識することで最後は持てるようになる。前向きな気持ちが一番大事な前提であり、その気持ちさえあれば長く続けることができるのだと思う。入社当時から周囲にはやさしい先輩が多く環境にも恵まれた。最近は力仕事も減っている。工場内の設備の充実にともない、性別に関係なく作業できる環境が整っている」(ひらおさん


担当製品のRT・UT合格に安堵

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同事業所機器製造部製缶溶接第二課でいわさきさんは主に半自動・ティグ・自動溶接を適用した各種発電機・水車などの部品製作、ひらおさんは主にティグの自動溶接によるタービンロータおよび配管の製作を担当する。

いわさきさんは過去に北海道から九州まで、各地の発電所で溶接に携わった。「出張先で発電所が起動していく過程を間近で見たときはうれしかった。真夏に保護具をつけて汗だくの環境を乗り越え、要求品質を満たしたときはやりがいを感じた。また、現地では寝転がったり、工夫しながらいろいろな姿勢の溶接を経験した。性別なく溶接用ケーブルやエアーホースを背負って移動したことなどを振り返ると、前例がない中で女性でも現地の仕事ができることを見せることができたと思う」

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ひらおさんはここ10年以上、第一人者として巨大なロータの製作を一貫して担当する。「溶接は奥が深い。最初のころは手本を見るとなるほどと思うのだが、同じように溶接できず、経験を積むことに専念した。ロータの溶接に携わるようになって、最終的にRT・UTで合格したらその都度安堵の胸をなでおろす。溶接部検査の合格率向上を第一に考え、日々の作業に取り組んでいる」


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溶接の募集は「当社だけだった」

いわさきさんは美術系専門学校の在校時、ひらおさんは入社後に溶接を初めて体験した。

「もうすぐ30歳という時機に転職を思い立った。女性のための再就職講座を経て、公立の訓練校では専門校で経験があり興味があった溶接関連の資格を取得するため金属加工系を選択した。就職に際して、技能系求人情報誌に溶接職種で載っていたのは当社だけだった。見学に訪れた事業所内は何もかもが大きくて驚いた。同時期に採用された男性が順次入社していく中、私の場合、更衣室をつくるなどの理由で数ヵ月遅れて通うことになった」(いわさきさん

「高校は普通科でもともと事務系よりものづくりに興味があった。高校に寄せられた求人で製造関係は当社だけだった。『溶接だけど大丈夫』と問われたものの、そのまま受験した」(ひらおさん

ひらおさんが件の更衣室で2年先に入社したいわさきさんと顔を合わせてから20数年が経過した。2人は今も現役で溶接に携わる。


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(左から)ひらおさん、いわさきさん